2013年9月25日 Home

真空管カウンタを動かす

omiokone


タケダ理研(現: アドバンテスト)製の真空管カウンタユニットの回路を解析し、電源をつないで動かしてみた。
This tube counter unit was made by Takeda Riken, Japanese instruments maker, circa 1960. This is a part of the frequency counter.
TR211D
回路図 schematic
counter.mpg (1.8Mbytes)
デモ動画
demonstration video

tubes board1 board2

オンオフ動作に耐えるディジタル回路用の双3極管5963を使用。Toshibaのマークが入っている。東芝の真空管は1959年までマツダブランドだったので、これが元の球とすれば、それ以降の製造と言うことになる。本機では1本だけ12AU7になっているが、球切れで代用したのだろう。
両面基板(スルーホールではない)の両側に手ハンダで部品が取り付けられている。改良のためか一部のコンデンサは基板面の表示と違う値になっている。

tubes board1 board2

製造年はどこにも記載がない。計測器販売店会のコラムにタケダ理研が1958年ネオンランプの数字列表示を使った周波数カウンタを生産とあるが、これはその系列であろう。TR211DとDサフィックスがつくので改良型と考えられ、上の真空管の件とあわせると1960年前後の製造と推測される。
ニキシー管が国産化されたのが1958年なので、このシリーズには間に合わなかったであろう。またニキシー管では陽極が全ての数字に共通なので、本機のような簡単なデコード回路は使えない。


回路の解説

T型フリップフロップによる4bitのカウンタ。帰還回路により、Q2 L→HでQ1が強制的にHに、Q3 L→HでQ2が強制的にHにされ下表の状態遷移となる。原理は簡単だが高速動作には回路定数が微妙になる。表示回路は1段目の出力が偶数番目と奇数番目のネオン管のグループに接続され出力Hで選択される。ネオン管の陰極側は01 23 ...のペアが抵抗を介してそれぞれ2つのフリップフロップ出力に接続される。出力が2つともLのときのみ点灯するよう抵抗値が設定されている。ネオン管の点灯しきい値とカウンタの特殊なコードをうまく使って、抵抗のみの簡単な回路でデコードしている。
   Q3 Q2 Q1 Q0
0   L  L  L  L
1   L  L  L  H
2   L  L  H  L
3   L  L  H  H
4   L  H  H  L
5   L  H  H  H
6   H  H  L  L
7   H  H  L  H
8   H  H  H  L
9   H  H  H  H

動作実験

B電圧が不明だが回路から200V程度と推測した。高圧の可変電源を持っていないので、とりあえず昔の短波受信機の電源から借用したところ、実測ちょうど200Vでうまく動いた。リセット入力はGNDに落とす。入力に25Vpp 50%デューティの方形波を入れて10分周出力を観測すると、入力100kHzぐらいが動作限界であった。これで正常なのか、電源電圧、電源リプル、入力電圧を適正化すればさらに伸びるのかは不明。周波数カウンタを組むときには、プリスケーラが前につくとも考えられる。もちろんネオン管はずっと低い周波数で表示が追従しなくなるが、カウント値は止めて見るので問題ない。


リンク

Lamps&Tubes Counting & Display tubesに海外製のカウンタユニットがある。